新書のすゝめ 〜 文章・ことば・話し方

1. いい言葉は人生を変える!. . . 2007 / 佐藤 富雄

いい言葉は人生を変える

医学博士で農学博士・さらには健康科学者で栄養生化学者でもあり、数多くの自己啓発書を執筆する著者が「言葉のパワー」を伝授する。人間が口に出す「言葉」と脳の関係、さらには「意識」と体の関係について分析し、前向きな口癖がその人を成功に導くという「口ぐせ理論」(←商標登録)を力説する。40年以上に渡って研究した脳と自律神経のシステムから、「良い言葉・良い言葉遣いが幸運を呼び込む」という、一見単なる精神論とも思える通説を科学的に解明していく。いかなる状況においても「私は幸せだ」・「がんばろう」・「これでいい!」と口に出して言い続けることで脳が「幸せホルモン」を分泌し、これが精神や筋肉・肌ツヤなどにまで作用して、研ぎ澄まされた「心のアンテナ」が幸運を見逃さずにキャッチ。その結果として幸せな、そしてリッチな人生を送ることが出来るというもの。雑誌広告などにあるような「金運パワーストーン」のように聞こえなくもないが、まずは実践してみたい。


2. 口のきき方 . . . 2003 / 梶原しげる

口のきき方

文化放送のアナウンサーを経て独立し、報道からバラエティ番組まで数多くの番組に出演する傍らで、大学院で心理学修士号を取得し、人間関係のストレスに悩む人々のケアに従事するなど、心の専門家としても活動する「しゃべりのプロ」・梶原(かじわら)氏がレクチャーする日本語論。 「こだわりの店」や「鳥肌が立つような感動」のように、一見正しいようで実は誤用されている表現や、「自分探し」・「大人買い」の如く便利に使われる新語の怪しさ、さらには「みたいな」・「寒い」・「ビミョー」・「てゆうかぁ」などの耳障りな若者言葉を駆逐して、上品で嫌みの無い、そしてまっとうな「口のきき方」を指南する。読者自身も心当たりがあると笑いながら読むうちに、自然と話し方が向上する(かも知れない)啓発本。


3. そんな言い方ないだろう . . . 2005 / 梶原しげる

そんな言い方ないだろう

「こちらがメニューになります」・「お弁当のほう、温めますか?」・「ご注文よろしかったでしょうか?」... コンビニやレストランで普通に飛び交う乱れた日本語を「ことばの生活習慣病」と診断するのは、前項に引き続いて「しゃべりのプロ」の梶原氏。若者言葉の不可解さや放送禁止の「忌み言葉」・微妙な漢字の読み間違いから敬語の持つ強力なパワー・さらには筆者の独断で血液型別に分類した「しゃべり方」と、バラエティに富んだテーマで日本語の危機を訴える。話し言葉を最も大事にするアナウンサーという立場で書かれた「正しい話し方」教室。


4. 1分で大切なことを伝える技術 . . . 2009 / 齋藤 孝

1分で大切なことを伝える技術

東大の法学部から大学院で教育学の研究に転じ、身体が人間にとってどんな意味や価値を持つのかを論じる「身体論」を専門とする明大教授の齋藤氏。2001年に出版した『声に出して読みたい日本語』(草思社)は260万部を超えるベストセラーとなり、日本語教育学やビジネス書などを数多く執筆しているが、本書はタイトル通り、自分が言いたい内容の要点をもれなく簡潔に、かつ印象的に話すテクニックを磨くための指南本である。小学生から社会人まで幅広い層を相手にセミナーや講演を行う日々の中で「聞き手が退屈せずに我慢できる限界」を1分と設定し、いかにその1分を高密度にして思いを伝えるか、聞いてもらうのかを論じた一冊。話術とは才能ではなく練習することでしか習得出来ないという考えに基き、「校長先生の朝礼」のように長くて退屈な「環境問題」を解決する。


5. 野村ボヤキ語録 〜 人を変える言葉、人を動かす言葉 . 2011 / 野村克也

野村ボヤキ語録

プロ野球の名選手として1960年代の南海ホークス黄金時代を支え、引退後は「ID野球」を掲げて弱小球団のヤクルトを3度まで日本一に導いた名監督の野村氏だが、入団当初は契約金無しのテスト生という扱いだった。それでも二軍から這い上がりレギュラーの座を奪い取った原動力は、まだ何年目かの時、当時いつも叱られていた鶴岡監督から何かの拍子に「おまえ、ようなったな」と掛けられた一言にあると振り返る。その後の選手生活、そして20年間の監督生活で貫き通したのは「言葉によって人間は変わる」という信念。プロ野球の監督として「やる気を引き出す」言葉、「気付きを与える」言葉、そして「戦略としての」言葉など、その才能や性格・置かれた状況によって「言葉」を選びながらアドバイスや助言を与え、選手の能力を120%開花させた例は数多く、言葉の持つ力を教えてくれる。その中でも「南海の三悪人」と呼ばれた門田・江本・そして江夏の各選手と対決した時のエピソードや、古田選手との長くて深〜い関係はとっても興味深い。


6. 残念な人の口ぐせ . . . 2017 / 山崎 将志 (やまざき・まさし)

zannennahito

東大の経済学部から世界規模の外資系コンサルティング企業のアクセンチュアに入社し、独立後はビジネスコンサルタントとしてベンチャー企業の設立などにも関わる山崎氏。2010年に出版した『残念な人の思考法』(日本経済新聞出版社)がベストセラーとなったのに気を良くしたのか、その後も『残念な人のお金の習慣』・『残念な人の英語勉強法』など「残念な人」シリーズを数多く世に出しており、本書もその流れを汲んだ一冊。「何でこれやるんですか?」・「教えてもらってないので分かりません」・「人が足りません」...。視野が狭くて決断も実行も出来ず、協調性や誠実さも無い「残念な人たち」がよく使う言葉を列挙して、出来るビジネスマンへの転換を促す。 「口ぐせ」とはその人のモノの見方や考え方・そして心構えを映す鏡であり、言ってみれば頭の中そのものであると定義。人生にマイナスをもたらす悪癖を退治してポジティブ思考への道を開く。


7. 2週間で小説を書く! . . . 2006 / 清水 良典

2週間で小説を書く

愛知県の工業高校で国語の教師を務めながら文芸評論家としてデビューし、小説やエッセイなどを数多く手掛けている清水氏が伝授する「書く力」。本書は正確に言えば、2週間で1冊の小説を書き上げるためのノウハウ書ではなく、小説創作に必要な基礎や心得・そしてテクニックを「2週間で取得する」ための本。巷では小説を「書きたい」とう思う人は数多いが、人の作品を「読みたい」と考えている人は少ない。言い換えれば、カラオケで自分の番では夢中に歌うが、友人の歌声に耳を澄まさない人が大多数であることから、「小説は読まなくても書ける」「誰にでも書ける」というユニークな持論を展開する。各人の持つ文章力や想像力・表現力を研ぎ澄ましてその才能を引き出し、2週間でまともな小説が書けるようにレクチャーする。


8. すぐに稼げる文章術 . . . 2006 / 日垣 隆

すぐに稼げる文章術

その著書・『刺さる言葉 〜 目からウロコの人生論』で人間界の矛盾を鋭く突いたジャーナリストの日垣氏がお届けする「努力不要の文章講座」。新聞・雑誌・メルマガそしてネット通販など、文章をひたすら書くことで暮らしている著者が常に最優先しているポイントとは、「どう書くか」ではなくて「どう読まれるか」。巷にあふれる記事や書評などに散見される駄文・悪文を論(あげつら)い、ダメ出しすることで「読ませる文章」を書くための手法を伝授する。刺激的な論調で「炎上」も少なくない日垣氏だが、エッジの立った文章はやはり魅力的で、ついつい納得してしまう。「すぐに稼げる」かどうかは別としても、書くことの面白さを教えてくれる。  


9. 1行バカ売れ . . . 2015 / 川上 徹也

1行バカ売れ

大手広告代理店での勤務を経て独立し、数多い企業の広告制作に関わる中で、企業の「哲学」や「理念」をたった1行に凝縮して掲げる手法を得意とするコピーライターが考察する「売れる法則」。本書は、どんな「魔法の1行」で商品が売れるのかを追究したマニュアルといった類の本ではなく、ほんの少しだけ言葉を替えたことによって「バカ売れ」した商品やサービスの実例を挙げながら、結果につながる文章のアイデアを読者と一緒に模索していく。「お口でとろけて、手にとけない」(M&Mチョコレート)や「モノより思い出」(日産自動車)などの傑作コピーを、頭ではなく心で感じさせながら、言葉の持つ「魅力と魔力」に読者を引き込んでいく。


10. 女子大生がヤバイ!. . . 2009 / 小沢 章友 (あきとも)

女子大生がヤバイ

一見華やかに見えて実はドロドロな人間関係・さらには自由奔放でブレーキの効かない異性関係などなど、最近の女子大生の生態が「ヤバすぎる!」 といった内容の本ではない。歴史ロマンや幻想ファンタジー小説で人気の作家が、東京都内の女子大で非常勤講師として「文章講座」を開いていた際に遭遇した「今どきの女子大生」の表現力に驚愕したという話である。 講座を始めた1994年頃にはまだ昭和的な価値観が残っており、女子学生たちの書く文章にも「素朴」を感じさせるものが多かったが、格差拡大やリーマンショックを経た2009年には彼女らの「作風」が劇的に変わったと分析する。スマホの普及によって文章力が飛躍的に向上し、情報の充実による精神的な「タブーの崩壊」によってショッキングに変革した彼女らの「ヤバい」作品を紹介しながら、今の若者が当たり前のように持っている潜在的な文章力を解説する。