新書のすゝめ 〜 会社・仕事・就職

1. サラリーマンは、二度会社を辞める。. 2012 / 楠木 新 (くすのき・あらた)

サラリーマンは二度会社を辞める

退職後の長い人生をどう生きるかをテーマにした『定年後 - 50歳からの生き方・終わり方』(2017/中公新書)の著者で、ビジネス評論家としても活躍する楠木氏。長年勤めた大手生保での仕事に行き詰まり、47歳で「うつ」を発症して長期休職したという自身の経験を踏まえ、組織で働くことの意義を改めて考える。サラリーマンは早くて30代、遅くても40歳までに「このままの人生で良いのか」という思いに悩まされるのだが、それを「こころの定年」と名付けて一度目の退職と定義する。そのあと実際に辞めた人、会社に残った人々の実例を挙げながら、人生の定年である「死」から逆算して、残る人生の「生きる意味」を考えるチャンスを逃すなと助言してくれる。


2. 働かないオジサンの給料はなぜ高いのか . . . 2014 / 楠木 新

働かないオジサンの給料はなぜ高いのか

仕事に追われる中堅や若手社員が安月給で頑張っている一方で、口は出せども自らは決して動かずに暇そうにしているオジサンが高い給料をもらっているという不条理を、評論家の楠木氏が解明する。バブル後の「失われた20年」を通して年功序列と終身雇用が崩壊しつつある中において、必死に体制を整えようとする企業。だがポストの数は限られており、ラインを外れた中高年に適当な仕事もなく、かと言って解雇する事も出来ず、事なかれ主義によって飼い殺しにせざるを得ない現状がその原因と解き明かす。また本書を読んで脱力感に悩んでいる読者に向けて「働かないオジサン」にどう対処すれば良いのか、また自分が将来そんなオジサンになってしまわないための方策を伝授する。


3. それでも会社を辞めますか? . . . 2009 / 多田 文明

それでも会社を辞めますか?

「キャッチセールス評論家」 「悪徳商法評論家」などのユニークな肩書きのルポライターで、著書・『ついていったらこうなった 〜 キャッチセールス潜入ルポ』でも有名な多田氏による「仕事選び直しマニュアル」とも呼ぶべき一冊。「会社を辞める」と決断した人がやっておくべき準備の方法や、求人情報の正しい読み方・ハローワークの活用方法など、中高年の職探しについて提言する。意を決して辞めてはみたものの、転職を何度も重ねるたびに年収などの待遇面を下げられてしまう「キャリアダウン」、新しい職場に適応することが出来ずに「前の仕事の方が良かった」などと後悔する「前職フラッシュバック」、また海外経験が豊富で英語も堪能という「オーバースペックが故の難しさ」など、アラフォーの転職の難しさを改めて教えてくれる。


4. 会社で不幸になる人、ならない人 . . . 2012 / 本田 直之

会社で不幸になる人、ならない人

大きな反響を呼んだビジネス書・「レバレッジシリーズ」の著者であり、ベンチャー企業を経営する実業家でもある本田氏は、一年の半分をハワイと東京で過ごす「仕事と遊びの達人」でもある。 明治大を卒業後アメリカでMBAを取得し、シティバンクなどの外資系企業で働いた経験を通して彼が気付いたのが、「会社で不幸になる人の共通点」。飲み会で上司の悪口を言って発散したつもりで逆にストレスを溜めてしまったり、ミーティングや残業などを多くこなす事で仕事をしている気になったりと、日常の会社生活で陥りがちな「罠」を反面教師としながら、自由で楽しく・そして幸せに働く会社員になるための方法について提言する。


5. 人間が幸福になれない日本の会社 . . . 2016 / 佐高 信 (さたか・まこと)

人間が幸福になれない日本の会社

ブラック企業批判の急先鋒として知られる「硬派ジャーナリスト」の佐高信が、2015年に発覚した東芝の不正会計に触発されて改めて日本企業と企業人論について提言した一冊。日本の経営者が無責任である理由、「企業教」による社員のマインドコントロール、過労死や自殺・内部告発などの「ブラック性」など、大企業とその経営者を名指しで批判しながら企業社会の病根を探る。世襲経営に反対し、役員の定年制を確立して老害の排除を推奨すると同時に、生活感覚を生かした分権性を提言しながら、何よりも社員を人間として扱うことを今の日本企業に論(さと)した一冊。


6. 99%の会社はいらない . . . 2016 / 堀江 貴文

99%の会社はいらない

420万社もある日本の企業のうち415万社が不要だ!と断じる本ではなく、総人口の半分の6千万人を超える日本の「労働者」に向けて、会社という形式に縛られずに仕事した方が人生もっと楽しくなりますよと提言するもの。東大在学中の23歳で起業し、ライブドア事件で一度は服役したものの、獄中からメルマガを発信し、復帰後は宇宙旅行ビジネスなどを立ち上げて精力的に活動する「ホリエモン」が唱える働き方改革。ビジネスマンとしてだけでなく、社会学や歴史にも造詣の深い著者による分かりやすいアウトプットが心に響く。これから仕事を探す学生さんだけでなく、すでに働いているが「好きなことが見つからない」「何かをやりたいけど何をやったらいいか分からない」などという人たちにもおススメの一冊。


7. 個人を幸福にしない日本の組織 . . . 2016 / 太田 肇

個人を幸福にしない日本の組織

組織論を専門とし、『がんばると迷惑な人』(2014/新潮新書)で「質より量」の努力が組織をダメにすると説いて話題となった経営学者の太田肇が分析する「日本の組織」。ビジネス書などでよく見られる「日本企業の強みは結束力」という定説を「明らかな誤解」と喝破し、組織に属さなければ働くどころか学ぶことも、生活することも出来ない状況に無理やり追いやられている現在の日本人の境遇に対する打開策を提示する。1980年代以降、諸外国からの圧力に屈する形で進められた数々の規制緩和の恩恵を受けた日本企業が、コスト削減を目的に正社員の多くを非正規に切り替えた結果、企業は伸びても社員のモチベーションは下がる一方という事態を危険視する。会社・人事・入試・PTA・町内会... 昔ながらの「日本の組織」はもはや限界に来ているとし、個人を尊重する組織や社会を目指して活動する著者が「新しい組織のあり方」を提言する。 


8. 葬られるサラリーマン . . . 2007 / 藤井 厳喜 (げんき)

葬られるサラリーマン

米国ハーバード大学の在学中に自らのシンクタンク(政策研究所)を立ち上げ、帰国後は国際問題アナリストとしてテレビやラジオで活躍する一方で、企業の顧問や大学の教授として「未来学者」という異名を取る藤井氏。明治維新に際して日本の武士階級が消滅したのと同じように、今後は「サラリーマン」という純日本的な階級制度が消滅すると予測、不安定化が進む雇用形態に対抗するべく、組織に縛られない働き方・生き方への転換を促す。「労働ビッグバン」という改革による「残業代ゼロ」や「労働者のオール非正規化」によってホワイトカラーは崩壊、さらには米国が主導するグローバル経済の台頭により、もはや高度成長など望むべくもない日本に次々と襲いかかる貧困や格差問題。これらに対処出来るのは「自助努力」しかないと断言し、ならばこそ覚悟を決めて立ち向かうべしと叱咤する。


9. 不機嫌な職場 〜 あなたの職場がギスギスしている本当の理由. . . 2008

不機嫌な職場

「横浜生まれでカープファン」の経営コンサルタント・高橋克徳、「ケビン・ ワン」とのペンネームで出した「ニワトリを殺すな」(2003)でビジネス寓話ブームを起こした人事コンサルタント・河合太介、社会.心理学と社会神経科学を専門に海外の大学で教鞭を執る渡部幹、異文化マネジメントと人的資源管理を研究する永田稔の4名による共著。「新しい企画に参加してくれない」・「隣の席の人どうしがメールで会話する」・「派遣社員・パート社員を名前で呼ばない」... こんな職場は要注意 !! 仕事を阻害する要因を分析し、ギスギスした職場を協力し合う組織に変革するための方法論。


10. バブル入社組の憂鬱 . . . 2017 / 相原 孝夫

バブル入社組の憂鬱

1985年のプラザ合意に端を発する急激な円高と、不動産や株式の高騰によって日本中が躍ったバブル景気。その1987〜1991年に就職した「バブル入社組」は今や50歳を超え、組織の中で岐路に立たされている。バブルの崩壊以後、ずっと先の見えない状況の中で、大量採用によって既にポストの数を圧倒的に上回ってしまった彼らは「担当課長」「専任課長」「プロジェクト課長」などというバブリーな役職を与えられ、昇格はしても「昇進」は出来ないという境遇に追いやられている。自身もバブル入社世代という人事・組織コンサルタントの相原氏が、成果主義とかいう名の元に推し進められたコスト削減やリストラの被害に遭って、「会社に裏切られた」とか「話が違う」などと嘆いているバブル入社組の生態を分析し、彼らが生きる道を模索する。