新書のすゝめ 〜 日本の外交問題

1. 国家の命運 . . . 2010 / 薮中 三十二 (やぶなか・みとじ)

国家の命運

見た目のソフトさとは真逆で、大阪出身の阪神ファンという熱き外交官・藪中氏が提唱する日本の針路。外務省時代にはアメリカとの交渉で何度も「No !」を言い続けた筆者が、 最近の政治決着において常に譲歩させられている日本の外交にモノ申す。中国や北朝鮮の脅威への対峙・アジア諸国との連携やTPPへの積極参加など、外交のテクニックに留まらない国際的視点からの処方箋を提言する。


2. 世界に負けない日本 . . . 2016 / 薮中 三十二

世界に負けない日本

外務次官として数多くの修羅場を踏んできた筆者が、グローバル時代において日本人が習得すべき能力について語る。アメリカや中国との交渉、ロシアや北朝鮮との対峙、ASEANとの関係強化など、世界の舞台で日本がリーダーとなるために身に付けるべき力を説く。時折テレビに登場する薮中氏から窺えるのは非常に温厚な人柄であり、フェアな物言いには品性が感じられるほどで、偏向番組とされる「サン〇ニ」のゲストとして出演するのは非常に“Mottainai”(もったいない)! ノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんならそう叫んだであろう。


3. ほんとうは危ない日本 . . . 2012 / 田母神 俊雄 (たもがみ・としお)

本当は危ない日本

防衛省の元・航空幕僚長という保守の立場から、東日本大震災によって露呈した日本の「弱さ」そして「強さ」を体感し、政治・軍事・経済の問題を論じた『ほんとうは強い日本』に続く第二弾。2012年4月、東京都の石原知事が「日本の国土を守るため、東京都が尖閣諸島を買う」と宣言した英断に対して熱烈な支援を表明。中国の脅威に警鐘を鳴らし、その勢力に供する反日左翼メディアを厳しく批判する。「憲法九条にノーベル平和賞を!」などといったお花畑なプロパガンダに流されては間違いなく他国に侵略されると断じ、迫り来る日本の危機を可視化する。


4. 騙されるな日本!. . . 2012 / 田母神 俊雄

騙されるな日本

防衛省の空幕長という要職を務めた経験から、今の日本の覇権を狙う周辺国の危険性について警告。中国が尖閣諸島で、韓国が竹島で、そしてロシアが北方領土で日本を脅かしているという状況にも関わらず、相も変わらぬ「お人好し外交」を続ける日本政府に警鐘を鳴らす。同時期に書かれた前項の『ほんとうは危ない日本』が特に中国の脅威を訴えたのに対し、本書では経済戦争によって日本の植民地化を図るアメリカの脅威について言及する。日本に向けて毎年送りつけて来る「年次改革要望書」という名の命令によって日本潰しを画策するアメリカとの「最大の領土問題」について論じ、ならば日本を守るためにどう考え、何をすべきかを広く日本国民に説いている。


5. 外交プロに学ぶ 修羅場の交渉術 . . . 2012 / 伊奈 久喜 (いな・ひさよし)

修羅場の交渉術

「外交【Diplomacy】とは、文書【Diploma】を作るための交渉であり、それを行うのが外交官【Diplomat】である」と本書で論じる伊奈氏は、早稲田大を卒業後に入社した日経新聞で政治部記者として取材活動を長く続け、近年では外交・安全保障における特別編集委員を務めたジャーナリスト。1972年の自民党総裁選における「角福戦争」や、2003年のイラク戦争に自衛隊派遣を強行した際の「小泉発言」、さらには2011年の東日本大震災での対応が後手に回った民主党の菅首相によるお粗末な「危機管理」などの事例を挙げ、国の命運を左右する局面における「言葉」と「交渉」の重要性を訴える。外交においては、日米首脳会議における言葉のレトリック、尖閣諸島をめぐる中国との問題解決の先送りによる弊害、ロシアとの北方領土交渉における「外交カード」の入念な準備など、プロの仕事に学んだ数多くの知見からビジネスにも通用する交渉術を披露する。残念ながら伊奈氏は2016年に胃がんのため62歳という若さで死去したが、ジャーナリストとしての功績は後進に大きな影響を与えている。


6. 世界を裏側から見る私の手法 . . . 2017 / 佐藤 優 (まさる)

世界を裏側から見る私の手法

同志社大の神学部から外務省に入り、ロシアスクールで活動していた2002年にロシア外交と北方領土をめぐるスキャンダル、いわゆる「ムネオ疑惑」に連座して逮捕された経緯を生々しく再現し、国策捜査の真相を明かした『国家の罠』がベストセラーとなった著者が日本外交を徹底分析する。北方領土交渉のゆくえ・尖閣諸島をめぐる中国外交など日本の脅威となる近隣諸国や、ロシアの経済事情・中東諸国の混乱・さらにはトランプ大統領が国際社会に与える影響など、豊富な外交経験に基づいてディープに斬り込む語り口はドラマチックで迫力満点。本書は日本の経営者たちに広く読まれている雑誌・『経済界』への連載を元に再編集したもの。「外務省のラスプーチン」とも呼ばれたほどの佐藤氏は恐い人のように思えるが、無頼漫画家のサイバラと異色のユニットとかも組んでおり、実は結構「おちゃめ」という印象。


7. 日本人としてこれだけは知っておきたいこと . . . 2006 / 中西 輝政

日本人としてこれだけは知っておきたいこと

右派論壇の重鎮として知られる国際政治学者で歴史学者でもある京大名誉教授の中西輝政氏が全ての日本国民に贈る「正しい歴史観」。終戦後、GHQによって「日本が二度とアメリカに抵抗する事の無いように」と進められた占領政策である「憲法」や「教育」によって精神的に弱体化した日本人は、自虐史観を植えつけられて「軍国化が日本を戦争に導いた」とまで考えるようになる。しかしあの大戦は欧米の帝国主義から日本とアジアを守るための「正しい戦争」であったと論じ、マスゴミが今なお喧伝する「侵略戦争」という呼び方を喝破する。日本人の自画像が歪められたのは、その鏡自体を歪めた敵対勢力が原因であると断じ、「日本のこころ」とも言うべき日本文明や神道・さらには天皇までにも言及し、日本人が一刻も早くその本質を再発見して本来あるべき姿に立ち戻る事を強く願った一冊。


8. 見えない世界戦争 . . . 2014 / 木村 正人 (まさと)

見えない世界戦争

アメリカNSA(国家安全保障局)による悪質な個人情報収集の実態を暴露した元職員のエドワード・スノーデンが2013年に指名手配となり、ロシアに亡命したニュースは記憶に新しい。米英を初めとする先進国だけでなく、ロシアや中国を巻き込んだ「情報戦争」は実はもうとっくに始まっており、世界中のあらゆる情報通信が行き交うサイバー空間は、今や陸・海・空・宇宙に次ぐ「第五の戦場」と化している。産経新聞のロンドン支局長を務め、現在もイギリスを拠点に国際ジャーナリストとして活躍する著者が世界サイバー戦争の実態を描いた一冊で、特に「軍産学民」が一体化した中国の脅威は日本人として是非とも知っておくべき。憲法9条や個人情報保護法とかの足枷(あしかせ)によって圧倒的に出遅れ、他国からやられ放題の日本は「サイバー防衛先進国」などという生半可なレベルを目指してる場合ではない?


9. 日本の敵 . . . 2015 / 宮家 邦彦 (みやけ・くにひこ)

日本の敵

ソ連共産主義の崩壊と冷戦の終結によって世界にもたらされたものは、平和と民主主義ではなくナショナリズム(民族主義・国益主義)による新たな戦争である。周辺諸国で自己主張を繰り広げ、南シナ海で領海侵犯を繰り返す中国、「反日」を国是として慰安婦問題などにより日本の併合時に受けた恩を仇で返し続ける韓国、自国第一主義へと転換し「世界の警察官」からの撤退を宣言したアメリカ... 日本にとって最大の敵とは、これらの状況を正しく理解せずに対応出来ないでいる「自分自身」であるという提言。外務省OBの著者が、戦後70年を経た現在の日本が対峙している「国難」への打開策を講じた快作。


10. 日本版 NSC とは何か . . . 2014 / 春原 剛 (すのはら・つよし)

日本版NSCとは何か

NSCは国家安全保障会議(National Security Council)と訳され、大統領や首相の下で外交や国防に関する戦略を立案する組織の名称。本家アメリカでは大戦後の1947年、米ソによる東西冷戦を背景にトルーマン大統領によって創設され、大統領への政策助言などの役割を果たしているが、日本ではようやく2013年の安倍内閣で発足したばかり。日経新聞の記者を経て同社のグローバル研究室長などを務める軍事評論家が「日本版NSC」の内情を解き明かし、この組織が果たして日本の国防における安全装置として機能するのか、そして憲法との関係はどうなのか等の疑問に対して解りやすく解説する。